おしりの病気
「妊婦さん、子育て中のママへ」肛門疾患パンフレット
チクバ外科病院作成「妊婦さん、子育て中のママへ」のパンフレットが出来ました。
肛門疾患に関する情報を載せています。
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1.いぼ痔について
肛門の病気にNo.1は何と言っても「いぼ痔」です。
「いぼ痔」には大きく分けて「内痔核」と「外痔核」があります。
「内痔核」は直腸と肛門の境にできる静脈のこぶです(これを静脈瘤といいます)。
主な症状は「出血」「脱出」「痛み」「腫れ」です。
内痔核は排便の時間が長い人、長時間同じ姿勢をとることが多い方、
重いものを持ち上げる作業などをよくする方などに多く、
最初はあまり症状は出ませんが、次第に大きくなってきて出血したり、排便時に肛門の外に脱出してきたりします。
脱出もひどくなってくると排便のたびどころか歩いたりゴルフをしたりしても出てきたりします。
ほら、ゴルフ場でフルスイングした後におしりのあたりをモゾモゾしている人を見かけませんか?
その人は出てきた「いぼ痔」を元に戻しているのかもしれません(違っていたら失礼)。
こうなってくるとカッコ悪いし、気持ち悪いし・・・・で、チクバ外科の門をたたくことになります。
脱出の具合で第Ⅰ度から第Ⅳ度までに分類します。
第Ⅰ度はまだ静脈瘤ができただけで、痛みや脱出はありません。
排便のときに痛みがなくて出血するだけならこの段階のいぼ痔が考えられます。
第Ⅱ度は、静脈のこぶが大きくなってきてそのこぶを支えている「スジ」が少し緩んできた状態です。
この状態だと、きばったときに少し脱出するのがわかる場合もありますが、病院にこられる場合の主な症状は出血です。
痛みはないことが多いです。出血が多いときには治療が必要です。
1週間以上出血が続く場合には是非診察を受けてください。
いぼ痔という思い込みは禁物ですよ。
第Ⅲ度はもっと静脈瘤が大きくなってきて、排便のたびに肛門の外に脱出してきます。
排便後におしりを触るとやわらかい「肉の塊」が肛門の外に出てきている、こんな感じです。
こうなってくると脱出時に軽い痛みを伴ってくる場合も多くなってきます。
日常生活も次第に不便になってきます。
「そろそろ治療しないといけないかな」と思う方が増えてくるのもこの状態です。
手術をするのが一番確実な治療法です。
さて、第Ⅳ度。
これは常に内痔核が肛門の外に出ていて指で肛門内に入れようとしても入らない、
もしくはすぐ出てしまう状態です。
この場合には外痔核を伴っていることが多いのですが、おしりを患ってらっしゃる患者さんにそんなこと関係ありませんよね。
でも、常に下着は粘液で汚れるし、おしりの周りは湿っているし、多分相当日常生活で困っているはずです。
手術をしたらすっきりします。でも、手術するのが不安だし、怖いからこうなるまで病院に行けなかったんですよね。
でも大丈夫。専門医にお任せください。
2.肛門周囲膿瘍
腸の中には便があり、その中にはいろいろな細菌が含まれています。
なかでも大腸菌は最も一般的なもので、腸管内に存在する限り人畜無害なのですが、何らかの都合でそれが狭い肛門腺管の中に封じ込められますと、その細菌に対する抵抗力のない人では、内・外括約筋の間で膿になり、筋肉の隙間の組織抵抗の弱い部分に広がっていきます。
この時、強い痛みと発熱を伴い、肛門の奥の方に不快感が持続するようになりますが、この状態を肛門周囲膿瘍といいます。痔瘻の初期段階です。
●肛門周囲膿瘍の症状
肛門周囲膿瘍の症状は、急に肛門周囲にズキズキする持続性の痛みを生じ、局部に熱を帯びるのが特徴で、進行すれば微熱がでてきます。
肛門の病気で熱が出るのはこれだけですから、自分自身でも診断が可能です。
●肛門周囲膿瘍の切開
肛門近くに膿がたまり、しだいに痛みが強くなって、熱が出る肛門周囲膿瘍は早く切開して膿を取り除かないと、組織の弱い部分へとだんだん化膿が広がっていきます。
糖尿病などの基礎疾患を持っている人はとくに早目に切開する必要があります。
これは、肛門の病気の中でも数少ない緊急を要するものといえましょう。
化膿性疾患をあまりがまんしていたために生命が危険になることがありますし、慢性になると痔瘻に移行することがあるので注意が必要です。
このような場合、とにかく早目に切開、排膿して、その後、ゆっくり根治的治療を考えればよいでしょう。
3.痔ろう
●痔ろうとは
腸の中には便があり、その中にはいろいろな細菌が含まれています。
なかでも大腸菌は最も一般的なもので、腸管内に存在する限り人畜無害なのですが、何かの都合でそれが狭い肛門腺管の中に封じ込められますと、その細菌に対する抵抗力のない人では、内・外括約筋の間で膿になり、筋肉の隙間の組織抵抗の弱い部分に広がっていきます。
この時、強い痛みと発熱を伴い、肛門の奥の方に不快感が持続するようになりますが、この状態を肛門周囲膿瘍といい、痔ろうの初期段階です。
肛門小かから入った細菌が肛門腺管の中で増殖し膿瘍化するのが痔ろうのはじまりです。
それがどこに向かって破れるかによって、痔ろうのタイプが異なります。
●痔ろうは手術しないと治らない
肛門近くが化膿して膿がでるようになり、いつまでも治らない時は、まず痔ろうを考えなくてはなりませんが、膿がたまると熱が出たり、痛みが増してきたりします。
膿がたまってもがまんし続けていると、膿のたまりは抵抗の一番弱い方向へ自然に破れて排出され、痛みが急にとれます。
そして排膿した道すじがトンネルになって残りますが、それを痔ろうと呼んでいます。
何回もこのようなことを繰り返していると痔ろうはだんだん複雑なものになり、手術も難しくなります。
痔ろうという診断がついたら、遅かれ早かれ、手術を覚悟しなければならないでしょう。
手術といってもいろいろな方法がありますので、どのように、いつ手術するかが大切な問題です。
従来、わが国では、痔ろうのろう管を大きく開いてオープンカットする手術が一般的でしたが、最近は、肛門の括約筋をなるべく痛めないで、手術後の肛門に大きな変形や瘢痕を残さない手術法が普及しています。しかも、急性期には切開、排膿だけしておいて、後は、本人の都合のよい時に根治手術をするというやり方が多くなってきました。