治療について
薬物治療について
5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤
IBD治療の基本となる薬で腸の炎症を抑えます。内服薬および外用薬(坐剤・注腸剤)があります。内服薬は、腸に届いてから有効成分が放出され、腸の粘膜の炎症を抑えます。坐剤は直腸の粘膜のみ、注腸剤は直腸やS状結腸・下行結腸の粘膜に直接働き炎症を抑えます。
ステロイド剤
強力に炎症を抑える薬で、症状が強い活動期の寛解導入に使用します。内服薬・注射薬・外用薬(坐剤・注腸剤)と様々な剤形があります。内服薬や注射薬では体内の副腎皮質ステロイドの分泌を抑制するため、急な中止により離脱症状を引き起こす恐れがあります。そのため症状がよくなったからといって自己判断で中止せず、医師の指示のもと徐々に減量していく必要があります。
免疫調節薬
免疫を調節することで腸の炎症を抑えます。5-ASA製剤のみでは寛解導入できない場合や、ステロイド剤を減量・中止すると調子が悪くなる場合(ステロイド依存例)に使用します。効果が現れるまで2~3ヶ月かかります。
JAK阻害剤
炎症性サイトカインが過剰に作られるのを防ぐことで炎症を抑えます。中等症から重症の患者さんで、これまでの治療で十分に効果が得られない場合に使用します。
α4インテグリン製剤
リンパ球が大腸の炎症部位に集まることを抑え、症状を改善させます。5-ASA製剤を服用しても十分な効果が得られない中等症の潰瘍性大腸炎の患者さんに使用します。
生物学的製剤(バイオ医薬品)
炎症の原因となる物質(TNF-αなど)や炎症性サイトカイン、リンパ球などの働きを抑えることで炎症を抑えます。中等症から重症の患者さんで、これまでの治療で十分に効果が得られない場合に使用します。病院で点滴や皮下注射を行う薬や、自宅で自己注射できる薬もあります。当院はバイオ後続品の使用を推進しています。
当院採用のIBD治療薬一覧
(2025年3月現在)
内服薬 | 5-ASA製剤 | アサコール® | ペンタサ® | リアルダ® | サラゾピリン® |
ステロイド剤 | プレドニン® | コレチメント® | ゼンタコート® | ||
免疫調整薬(チオプリン製剤) | アザニン® | ロイケリン® | |||
JAK阻害剤 | ジセレカ® | リンヴォック® | |||
α4インテグリン製剤 | カログラ® | ||||
外用薬 | 5-ASA製剤 | ペンタサ®坐剤・注腸 | |||
ステロイド剤 | リンデロン®坐剤 | レクタブル®注腸フォーム | |||
注射薬 | ステロイド剤 | プレドニン® | |||
生物学的製剤 | アダリムマブBS | インフリキシマブBS(レミケード®) | エンタイビオ® | オンボー® | |
シンポニー® | ステラーラ® | スキリージ® | |||
栄養剤 | 成分栄養剤 | エレンタール® | |||
半消化態栄養剤 | ラコール® |
GCAP治療について
GCAP治療とは?
GCAP治療とは、専用の機械を用いて腕の静脈から血液を体外へ連続的に取り出し、血液中の炎症を引き起こす原因となる顆粒球や単球といった白血球を選択的に吸着・除去し、浄化された血液を再び体内に戻す治療法です。
対象
・潰瘍性大腸炎 (UC)
・クローン病(CD)
治療時間・回数
治療時間は1回あたり1時間程度かかります。
外来での基本的な治療回数は以下に示す通りです(回数は症状の程度により変動します)。
回数 | 合計 | |
潰瘍性大腸炎(UC) | 週1~2回 | 10回 |
クローン病(CD) | 週1~2回 | 5~10回 |
メリット
・ステロイドなどの薬剤に比べ、副作用が少ない
・外来で治療が可能