炎症性腸疾患(IBD)とは
炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease 頭文字をとって”IBD〔アイ・ビー・ディー〕”という略称も使います)とは、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)に慢性の炎症を引き起こす疾患であり、潰瘍性大腸炎とクローン病に大別されます。炎症性腸疾患は、もともと欧米人に多い疾患と言われていましたが、本邦でも年々患者数が急増しており、特に潰瘍性大腸炎の患者数は、アメリカ合衆国に次いで世界で2番目に多くなっています。
潰瘍性大腸炎、クローン病ともに原因は未だ不明ですが、主に自己免疫が関与しているのではないかと考えられています。本来は細菌などの外敵から身を守る働きをするはずの免疫機能が自分自身の臓器を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つとされています。現在までの研究から病因としては、”生活環境や食生活の西洋化などの環境因子”、”腸内細菌の質的・量的変化”、また”発病しやすい遺伝的素因の存在”などの複数の要因が相互的かつ複雑に関与していると推測されています。
炎症性腸疾患は消化管の病気ではありますが、消化管以外に関節炎、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)、眼症状(ぶどう膜炎、虹彩炎)などの消化管外合併症を伴うこともあります。
潰瘍性大腸炎とクローン病は類似した点もありますが、全く異なる疾患です。詳しくは以下のページをご覧ください。